2024-04-05 フットライト 詩 真夜中のホテルの部屋。深い闇の中、足元灯の明かりが、寝台に投げ出された片足の足指と、足の甲を照らしている。 昼間会った人が話していた。手をかざすことで、手から発する霊力があらゆる病を癒す、親類がそう信じていると。 足元灯の光も、この片足に隠された見えざる病を癒すのか。 それとも。行く手のおぼつかない道程をなおも行かねばならないこの足を、幾許かでも照らす、これは灯火なのか。 今足元灯が照らしているのは、くたびれた土色の道具の、ぼんやりとした輪郭のみ。